日本ヘルスケア歯科学会では、規格性のある口腔内写真・エックス線写真だけでなく、様々な臨床データを集め蓄積して、そのデータによって臨床を振り返ることを推奨しています。
悪くなったところを治療するのと違って、予防やメインテナンスは効果がハッキリしません。私たちは、自分たちの診断がどの程度確かなものなのか、選択した治療方法が、どの程度効果的だったか、常に臨床を振り返ることが必要だと考えています。
日本ヘルスケア歯科学会では、その臨床データの振り返りのために「ウィステリア」というソフトを開発し、院内データベースを構築することを奨めています。
臨床データの蓄積と活用はなぜ大事?
すべての患者さんの個人データに加えDMFT・残存歯数・歯周病進行度・喫煙経験・来院履歴・メンテナンス履歴などをデータベースとして蓄積することで、医院での取り組みを評価することが可能となります。
例えば、自分の医院でのメンテナンスの継続と経年的な残存歯数を出すことで、その医院のメンテナンスの質を評価し、長期の予測が立てられます。質の高い診療への糧にすることができます。
また、そのようにして各診療所で蓄積されたデータをヘルスケア歯科学会会員から広く集めて分析するプロジェクト(Doプロジェクト)により、ヘルスケア歯科診療自体の評価検証を行っています。
●正しい選択ができていたのか?
ふと歩いてきた道を振り返ったとき、本当に正しい道を通ってきたのか、もし外れたのであればどう修正すればよいか?目的地はどこか?見失っていることがあります。歯科臨床においても正しい選択ができていたのか、目標へ到達できているのかを知るためには、臨床データを振り返ってみなければならなりません。そのために、すべての患者さんの日々の臨床データを記録し蓄積します。
歯科医院やそこに通う患者の記録を蓄積することで、振り返りが可能となり、さらには医院や患者さんの未来の姿が見えてくると私たちは考えています。
●診療の振り返りを推奨しています
日本ヘルスケア歯科学会では、規格性のある口腔内写真・レントゲン写真だけでなく、様々な臨床データを集め、分析する歯科臨床を推奨しています。具体的には、すべての患者さんの個人データに加えDMFT・残存歯数・歯周病進行度・喫煙経験・来院履歴・メンテナンス履歴をデータベースソフトに蓄積していくことで、医院での取り組みを評価することが可能となります。
例えば、自分の医院でのメンテナンスの継続と経年的な残存歯数を出すことで、その医院のメンテナンスの質を評価し、長期の予測が立てられる、質の高い診療への糧にすることもできます。
他にも、データベースで管理して集めたデータの統計から見えるものを、ヘルスケア歯科学会では大切にしています。
また、そのようにして各診療所で蓄積されたデータをヘルスケア歯科学会会員から広く集めて分析するプロジェクト(Doプロジェクト)により、ヘルスケア歯科診療自体の評価検証を行っています。
臨床データの蓄積と活用
を知るためのオススメ3選
ニュースレター
Vol,25 No,1〜Vol,25 No,5
診療と記録
Vol,25 No,1〜Vol,25 No,5
診療と記録
藤木省三
病因論と時間軸で語る
Biology-Oriented Dentistry
Biology-Oriented Dentistry
岡賢二
クインテッセンス出版
クインテッセンス出版
資料 もっと! 活用BOOK
(別冊歯科衛生士)
(別冊歯科衛生士)
高橋啓/藤木省三他
クインテッセンス出版
クインテッセンス出版
会員の研究成果(会誌掲載関連論文)
- 秋元秀俊,藤木省三:一般歯科診療所の初診高齢者の現在歯数と歯周病重症割合の推移-同一診療所群の連続20年間の診療記録を用いた報告,J Health Care Dent. 2021; 22:58-64
- 藤木省三,千草隆治:多施設における6歳から12歳の予防的定期管理による永久歯のう蝕発症予防効果,J Health Care Dent. 2021; 22:52-57
- 千草隆治:喫煙状況が残存歯数ならびに喪失歯数に与える影響,J Health Care Dent. 2020; 21:36-39
- 秋元秀俊,藤木省三:歯科診療所における初診患者の実態調査とその推移 第11報-DMF歯数の度数分布と健康格差に着目した解析,J Health Care Dent. 2019; 20:41-55
- 藤原夏樹:初診患者の解析による幼児2~3歳と4~5歳のう蝕関連要因の差異についての調査,J Health Care Dent. 2019; 20:16-22
- 上條英之,野々峠美枝,鈴木誠太郎,石塚洋一,高柳篤史,吉野浩一,岡本昌樹,田中正大,杉山精一,杉原直樹:長期の歯のメンテナンス治療による歯の喪失状況について,J Health Care Dent. 2018; 19:17-23
- 秋元秀俊,藤木省三:歯科診療所における初診患者の実態調査とその推移 第10,11報-地域経済格差と健康格差に着目した解析,J Health Care Dent. 2017; 18:53-67,2018; 18:73-86
- 杉山精一:6歳から20歳までのカリエスマネジメントの成果―日本の予防的う蝕実践歯科医院における報告,J Health Care Dent. 2017; 18:6-13
- 有野真澄,伊藤中,藤木省三,杉山精一,林美加子:成人におけるカリエスリスク・アセスメント わが国における多施設データの解析,J Health Care Dent. 2016; 17:6-12
- 岡恒雄:歯科診療所におけるメンテナンスに関する一考察 歯の喪失状況からみた10年間のメンテナンス効果について,J Health Care Dent. 2015; 1: 6-15
- 藤木省三/秋元秀俊:歯科診療所における初診患者の実態調査とその推移 第6,7,8,9,13,14,15,16報,J Health Care Dent. 2014; 14: 57-73,2014; 15:79-91,2015; 16:54-72,2016; 17:74-87,2020; 21:54-63,2021; 22:65-73,2022; 23:65-73,2023; 24:90-99
- 藤木省三,野村朱美,原田郁子,篠原千恵,小坂結香,内藤徹,野口哲司,牧野路子,内藤真理子:メインテナンス期の歯の喪失に影響を与える因子の解析―メインテナンス群と非メインテナンス群におけるリスク因子の比較,J Health Care Dent. 2012; 1: 6-13
- 藤木省三,伊藤 中,上田芳男,大久保篤,斉藤 仁,鈴木正臣,髙木景子,高橋 啓,滝沢江太郎,千草隆治,濱口茂雄,山中 渉:定期管理型診療所における永久歯の抜歯原因調査,J Health Care Dent. 2012; 1: 14-21.
- 藤木省三:歯科診療所における初診患者の実態調査第5報(2010年),J Health Care Dent. 2010; 1: 46-53
- 藤木省三:メインテナンス患者における歯周炎の進行度別の歯の喪失について,J Health Care Dent. 2009; 1: 11-16
- 藤木省三:歯科診療所における初診患者の実態調査第4報(2009年),J Health Care Dent. 2009; 1: 71-78.
- 藤木省三,中村愛弓,小松美保,野村朱美,原田郁子,篠原千恵,信正結香,新城里依:長期来院患者における多数歯喪失の原因に関する症例報告,J Health Care Dent. 2008; 1: 11-18.
- 藤木省三:Doプロジェクト報告<調査1>歯科診療所における初診患者の実態調査 第3報,J Health Care Dent. 2008; 1: 31-38
- 内藤 徹:Doプロジェクト報告<調査4>歯科治療はQOLの維持に貢献しているか?,J Health Care Dent. 2008; 1: 39-43.
- 藤木省三:大西歯科における子供の予防的定期管理と重症う蝕予防との関連,J Health Care Dent. 2007; 1: 24-28.
- 藤木省三,伊藤中:Doプロジェクト調査報告 調査1歯科診療所における初診患者の実態調査(2007年度,J Health Care Dent. 2007; 1: 29-35
- 杉山精一:歯科診療所での成人のメインテナンスと歯の喪失についての調査,J Health Care Dent. 2006; 1: 46-50.
- 藤木省三/杉山精一:診療機関における子供の定期管理のう蝕予防成績に関する調査報告,J Health Care Dent. 2006; 1: 38-45
- 杉山精一:歯科診療所における初診来院患者の実態調査,J Health Care Dent. 2006; 1: 33-37






